手ぬぐいについて

手ぬぐいの歴史

江戸時代に日本で綿栽培が盛んになり、綿製品が普及し、中でも手ぬぐいや浴衣は庶民の生活に広く溶け込んでいきました。現在のタオルと違い、手や体を拭くといった使い方だけでなく、ものを包んだり、被ったり、宣伝用途等で使ったり、その使い方は様々でした

江戸時代中期以降、歌舞伎の発展とともに歌舞伎役者が家紋や独自の紋様を入れた手ぬぐいが憧れの的となった。それ以降、手ぬぐいはその時代の流行や文化を表すファッション性の高いものとして庶民の生活に溶け込んできました。当店の町家手拭は実際に明治初期から昭和にかけて作られた柄を復刻したもので、その柄から当時の文化、流行を垣間見ることができます。

手ぬぐいの製造工程

友禅(ハンド)

友禅染は日本の代表的染技法のひとつ。江戸時代の画家・宮崎友禅の画風を、小袖など着物の文様に応用したのがはじまりです。永楽屋細辻伊兵衛商店で用いるのは、図案をもとに型紙をつくり、それを生地の上に置いて染める型友禅。伝統技法に則り、丁寧に手染めします。一色につき一枚の型で染めることから、多色使いの文様では何枚もの型を要します。複雑で多彩な文様を鮮明に染め出すには、熟練の職人技が必要です。

01. 調色

職人の経験と細かく管理されたデータに基づき色を調合し、ふのりと混ぜ合わせます。同じ色、同じ濃度で文様を染めるには、この調色も重要な工程。気温や湿度も踏まえ季節に応じて濃度を変え、生地に乗せやすい硬さに調整します。

02. 地張り

25mの染め板に生地を張ります。少しでもずれたり空気がはいったりすると染めムラや版ズレにつながります。生地を引っ張りながらまっすぐに張るのは技の要る作業です。

03. 型染め1

生地の上に型を置き、細長いヘラ状のはけを上下させ一気に染めていきます。左右の手に均一の力をかけ一息で一色を染め上げます。地色の白も真っ白ではなく、ニュアンスのある上品さが特徴です。

04. 型染め2

地色を染めた後、次々と色ごとの型を置き同じように染めていきます。版ズレがおきないよう慎重に型を置きます。

05. 染め上り

染め上がった生地は、14世細辻伊兵衛が確認。一カ所も色ムラや版ズレがないことが永楽屋細辻伊兵衛商店の基準です。

06. 後処理

染めあがった生地は干した後、蒸して水洗いし、乾燥させて手ぬぐいの長さに切って整えます。干し→蒸し→水洗い→乾燥→整理→完成

友禅(フラット)

現在綿素材の染色では、一番美しい発色をする方法(反応性染料)で、型の上から版画の要領で生地を染めていきます。細かい柄や、多色づかいのものを均一に染める事ができます。また捺染でも、手で染めていく「手捺染」や機械で染める「フラットスクリーン」等があります。

捺染の中でも永楽屋の捺染技術は京友禅染めの工程と同じで染めた後に【蒸し】・【水洗い】・【乾燥】・【仕上げ加工】の順に生産していく高度な技術で染め上げているこだわりのブランド手ぬぐいです。

染料とのりを調合し撹拌します

高品質で染め上げます

蒸すことで色が布地に定着します

高級製品の水洗方法です
より風合いがやわらかくなります

注染

明治時代にできた染色の方法で、型紙の上から糊を引き、染める部分に染料を注ぎ込みます。その為このような染色を注染(ちゅうせん)といい、表裏なく、しっかりと染まります。

またこの逆で線になる部分に糊を引き、地色を染めるのを地染りといいます。

本染めは複雑な柄や、ぼかし、多色使いになると熟練した技術が必要となるので、その仕上がりや染め具合は1枚ずつ微妙に違い、現在では貴重な『工芸品』ともいう事ができます。

手彫りされた伊勢型紙は正に芸術品です

重要な糊置きです

写真は熟練した注染の伝統工芸士によるものです

十四世細辻伊兵衛のチェックが入ります

インクジェット

スキャニングされた画像データを、コンピューター上で色補正を行いインクジェットプリンターで、プリントする方法です。
インクジェットといっても家庭用の事務機とは違い、捺染と同様の反応性染料が使われています。
現在では復刻するのがむずかしい古いものや、色数が大変多いものに使われています。

CADシステムによる画像処理です

反応性染料によるインクジェット技術です

手ぬぐいのかたち

手ぬぐいは江戸の昔から木綿の染布で小巾木綿(約36cm巾)になっていて、生地の「ミミ」をいかして染めているので、生地の厚さが異なる為に、高度な染色技術が必要となります。

手ぬぐいは縫製を一切していないというのが特徴で、「ミミ」の部分が大変お値打ちです。長さ方向は様々な用途に対応する為、切りっぱなしになっています。

その為横糸が少しずつとれてきますが、使用しているうちになじんで落ち着いてきます。それが古来よりの手ぬぐいの味と言え、ハンカチーフやタオル等 との大きな違いです。

生地について

手ぬぐいは服地や着物地に比べ、単純な細巾染めのように思われがちですが、最高の基準を保つには、その製造工程のどの一つが悪くても仕上がりに影響が出ます。

特に生地に関してはそれ以降の染めの工程に大きな差が出るため、一反一反丁寧に国内で織り上げています。

工程としては
(1)紡績→(2)荒巻ビーム→(3)サイジング(のり付加工)→(4)織り→(5)晒(さらし)→(6)検品
となります。

その全てにおいて職人の方々とコミュニケーションをはかり、私たちの「思い」をぶつけています。

良い商品を提供し続けるためには、人と人とのコミュニケーションが何よりも大切であり、技術と技術の融合によって良い商品が生まれると思っております。

糸1本にも決して妥協しない、最高の商品を提供し続けることこそが永遠に続く私たちのテーマでもあるのです。

荒巻ビーム

サイジング

織り

織り

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